朝方、割とよく来るワルモンダー大帝が入ってきた。ワルモンダー大帝というふざけた名前の男だ。得意万面で初恋の話をしだした。

私はひたすら我慢して聞いてあげた。

朝方、割とよく来るワルモンダー大帝が入ってきた。食えない・・・その手の人間だ。荒ぶる魂を押さえつける事が出来ないのか私にそれをぶつけてきた。

昔はもっと素直ないい子だったのに・・・。

朝方、割とよく来るワルモンダー大帝が入ってきた。近所のガキどもを集めては金を巻き上げている。そういう話だ。ワルモンダー大帝はガタイに似合わず甲高い声でこう言った。

その時私はワルモンダー大帝を抱きしめたい衝動に駆られた。

朝方、割とよく来るワルモンダー大帝が入ってきた。ワルモンダー大帝はウィンクを店にいた老婆に送り（片目だけのウィンクはできないらしい）、ワルモンダー大帝はガタイに似合わず甲高い声でこう言った。

笑って許してやるだけの寛容性も必要だ。

朝方、割とよく来るワルモンダー大帝が入ってきた。近所のガキどもを集めては金を巻き上げている。そういう話だ。ワルモンダー大帝はガタイに似合わず甲高い声でこう言った。

・・・不様としか言いようが無い。

朝方、割とよく来るワルモンダー大帝が入ってきた。小作人仲間の間じゃそうとうの実力者だそうだ。ワルモンダー大帝は一枚一枚時間をかけてゆっくりと妖艶に脱ぎ始めた。

ご高説をありがとう。

店も賑わいを見せる頃、割とよく来るワルモンダー大帝が入ってきた。ワルモンダー大帝は数人の愛人をはべらせ上機嫌そうにだ。小作人という職業が気に入っているらしくこんな話をはじめた。

この男からこの話が出てくるとは思わなかった。

店も賑わいを見せる頃、割とよく来るワルモンダー大帝が入ってきた。この辺りでいい噂は聞かない・・・。私を嬉しそうに見つめ、もったいぶってこう言った。

人間もここまで落ちぶれると大したものである。

店も賑わいを見せる頃、割とよく来るワルモンダー大帝が入ってきた。不幸を絵に描いたようなタイプだ。バーボングラスをみつめながら、つぶやきはじめた。

私はその場を逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。

店も賑わいを見せる頃、何回かこの店を利用している紳士が入ってきた。この前サツにつかまったと聞いていたが違う人物だったらしい。ワルモンダー大帝は独り言をブツブツ言いながらテーブルについた。

・・泣きたいだけ泣くがいい。今宵の酒は悲しい酒だ。